はじめに
オレンジやブルー、茶や黒。いくつもの白・・・土の中には沢山の色がある。
焼き物は土を焼いて、土の持っている色を見つける事だと思います。
お茶が入った時のぬくもりや手触り、唇にあたる感じ、飲み終わったあとの佇まい。そして土の持つ美しい色。
自然の持つ美しさを訳出した器をつくりたいと思います。
焼物を作る
僕は茶碗が好きで、ほとんど茶碗ばかりを作っています。
できあがった器が「上手」と言われるのはもちろん嬉しいのですが、「この茶碗でお茶が飲みたい」と言われる事がなによりうれしくなります。
形が整っていたり、すばらしい絵が付けられていたり、手重りが軽かったり、上手な条件沢山あるように思います。でもお茶が飲みたくなる茶碗の条件って・・・難しいです。
今、僕の出した「答え」の候補は、器がお茶の「邪魔」をしない事だと思います。
もともと美味しいお茶の邪魔をするものは何でしょうか?
僕は行きすぎた作意や人工の色、その土の持つ美しさを出し切れない焼き方など、のっけ過ぎた「自分」が邪魔をしているのではないかと考えます。
「自分」をのっけない茶碗、お茶だけがそこにある様な器が僕の理想です。 僕にとって上手くなるというのは、いかに「自分」をけしていくかと言う事です。
そして、ただただ、ひとがお茶を飲みたくなるような茶碗を作りたいと願います。
土 のこと
自然ほど美しい物はないと、師 太陽に教えられました。
土の持っている色を上手く引き出せたなら、どんな土にも美しさがある事に気がつくはずです。
僕は、山を掘り、粘土をつくり、日々器を作ります。
釉薬のこと
僕の釉薬の色は透明・緑・茶の三種類しかありません。けれども沢山な種類の透明な釉薬を土の性質に合わせて使いわけます。光の反射、質感、それから土に合わせた焼成温度の設定するからです。
形を作ること
ロクロ
個性のある土は、その土にふさわしい形になります。同じ様に引いても使う土によって違った形になります。土が動きたいように動く、その事を邪魔しないようにロクロを回しています。
削り
高台は土の持つもう一つの個性を見せる場所です。ロクロでつくった、きれいな面を削る事によって土の中をみせます。土の個性が表れるような削り方を心がけます。外面と内面、皮膚と内臓の関係に似ているかもしれません。
焼く事
土のもつ美しい色を表出する事だけを考えています。
炎が器を撫ぜると現れる色は人工では作り出せない美しい色。
窯屋は芸術の神ではなく火の神に祈ります。
焼き物の美しさは人が作るのではなく炎が作るのだから。
作 品
拠 点
大丸屋工房
〒731-3664広島県広島市山県郡
安芸太田町上殿1304
鳥屋ケ根工房
〒509-5402岐阜県土岐市曽木町
3028-1
プロフィール
- 1976 岐阜県土岐市に生れる
- 1996 父 青葉太陽に師事
- 2000 土岐市曽木町に窯を築く
- 2009 広島県に大窯を作る